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港町パ・ド・ドゥ

  • 執筆者の写真: 新美桂子
    新美桂子
  • 2022年9月21日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年9月25日

港町にさすらう船が

寝床についた

背を反らし

松の木々が波を蹴る

連なる雨が止み

鐘が鳴る


ふと

薄ら笑う月から

雲が生い茂る頃

眼を閉じて

息を潜め

魚影(ぎょえい)の群れを破る


飛沫(しぶき)が不意に

天と地と

賽(さい)の目に賭ける


渦に呑まれゆく

泡沫(うたかた)と

散りぬるカモメ

ふらり歩き始めたなら

そこに太古の息吹(いぶき)あり


午前(御前)様が

桟橋を渡る度に

遡(さかのぼ)る時間と記憶


帆を掲げて

呼び掛ける汽笛が

ポーポポポ

更けゆく街

夜霧から

ポーポポポ


瓜ふたつ

風の隨(まにま)に割(さ)けて

こぼれたミルク

熟れた星

影を削いで

描き出す

螺旋(らせん)の迷路から

まっぷたつに


凪(なぎ)

耳を澄ませば遠く

朝の潮騒(しおさい)を聞く


地図広げ

未知の地まで

夢泳ぐ

噴き出す

蒸気まで

上機嫌に

ポー トントン

パピプペポ


pas de deux,

cou de pied,

saut de chat,


temps lié,

pas de bourrée...



                                  

初演:2020年11月19日 酒心館ホール(神戸公演)

再演:2021年2月21日 フェアリーホール(横浜公演)

unit 4/4(ユニット・カトルカール)〜伊左治直×F.プーランク

演奏:太田真紀(ソプラノ)、碇山典子(ピアノ)、新美桂子(朗読)

作曲:伊左治直

 
 

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