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野天に涌く

  • 執筆者の写真: 新美桂子
    新美桂子
  • 2022年9月21日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年9月25日

甘露の泉に浮かぶ月は

掌に掬(むす)ばれたまま

なまじ半熟の震えるこの身を

夜空に沈め昇華する


花ひらく矢車からから回り

幾重にも輪を描いたら

みるみる溶け入(い)る記憶を汲み上げ

高らかにデキャンタージュする


瞬間(とき)は巡り

ともすれば遡り

とろり蕩(とろ)けて

とめどなく溢れ


万感こもごも湯舟に

到来するフェノミナン

噴き上げるトレビアン

幻の見えつらむ


天地を引き寄せ

酸化還元を繰り返し

新たに沐する者は

野ざらしの夢に戯(たわむ)る



                                  

初演:2022年3月8日 豊中市立文化芸術センター小ホール(大阪公演)

再演:2022年4月7日 めぐろパーシモンホール小ホール(東京公演)

unit 4/4 (ユニット・カトルカール)〜伊左治直×西村朗

演奏:太田真紀(ソプラノ)、碇山典子(ピアノ)、新美桂子(朗読)

作曲:伊左治直

 
 

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