腐蝕のベルカント
- 新美桂子
- 2022年9月21日
- 読了時間: 1分
更新日:2022年9月25日
対話(ダイアローグ)
「氷山の一角」
金切り声を皮切りに
打ち砕かれた情操が押し出され
拒絶の荒波に
漂流する自我の塊
「反芻するゲシュタルト」
万物のすべての
愛しき美しきものに抱く
憎しみの咀嚼によって
迷信に囚われた私を
再び呼び戻す月
「ルナティック」
無言のうちに
絶対的存在を示し
理性の支配する
矛盾を照らし出す
母なる輝きに
ざわめく死びとの細胞
「創造主の眼差し」
網膜に結びつくはずの
かつての期待を滲ませた
失意の眼差しの奥に
凍りつく虚像こそ
冒涜の毛皮を縫い付けられた
忌まわしき己の姿
独白(モノローグ)
「羨望の果てしなさ」
頭上に張り詰めていた
空が割れた瞬間
擬似的な記憶が
無数にばら撒かれる
息絶えた父を乗せ
彼は誰時の海原に
浮かぶ氷片と
ひずむ蜃気楼
がらんどうがらんどう
下弦に向かうメリー・ウィドウ
露骨に脈打つ心臓が
太陽にめり込んでゆく
初演:2021年5月19日 杉並公会堂小ホール 低音デュオ第13回演奏会
演奏:低音デュオ(バリトン:松平敬、チューバ:橋本晋哉)
作曲:伊左治直
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